キャッツクローの歴史
アマゾンの先住民に伝わる奇跡のハーブ
キャッツクローは、アマゾンの先住民達に約2000年にわたり医療に使用されてきた植物です。中でも、Ashaninka部族(アシャニンカ部族)は最長の歴史的記録を保有しており、ペルーにおいてのキャッツクローの最大の商業源です。
実際、キャッツクローは先住民達にどのような目的で使用されていたのでしょうか?部族ごとに使用内容をまとめてみました。
| 部族 | 使用内容 | 
| ペルーの先住民部族 (アシャニンカ部族)
 | 喘息、泌尿器官系の炎症、関節炎、リューマチ、骨の痛み、お産後の回復用、腎臓の洗浄用、深い傷の治療用、胃の炎症、胃潰瘍、癌など | 
| コロンビアの先住民部族 | 淋病、赤痢など | 
| ペルーピウラ県の住民部族 | 炎症、リューマチ、腫瘍、胃潰瘍など | 
| ペルーのその他の先住民部族 | 糖尿病、多量の出血、月経不順、肝硬変、熱、胃炎、リューマチ、炎症、腫瘍など | 
一般的にはキャッツクローの蔦の樹皮の煎じ汁を飲んでいたようです。
このようにして、身体を正常化するためにペルーの様々な先住民族の間で受け継がれてきました。
1970年代にはヨーロッパの科学者や研究者に注目され始めました。
また、同時期にはオーストラリアのジャーナリストであり民族学者のクラウス・ケプリンガー氏がキャッツクローに関する信頼のおける著者を纏めることにより、オーストラリア及びドイツでキャッツクローがハーブ薬として販売されることになりました。
キャッツクローの研究が進むにつれ、スペイン・フランス・日本・ドイツ・ペルーの研究者がケプリンガー氏の研究に続くように、キャッツクローの蔓や根のアルカロイド活性化機能の研究に取り組み、同氏の研究結果を認めました。
キャッツクロー保護法
 
1986年にはチェルノブイリ原発事故による放射線犠牲者の治療用にキャッツクローが使用されたことは有名な話ですが、1990年代にサプリメント大国アメリカではキャッツクローの研究が注目され大ブームが起き、1994年にはWHO(世界保健機構)から薬用植物として取り上げられました。
しかし、その背景にはキャッツクローの評判を聞きつけた人達がキャッツクローの生息地であるアマゾンのジャングルに進出を行います。当時は規制が無いためキャッツクローを乱獲されたため、ペルーでは自生したキャッツクローが収穫できなくなる事態に発展しました。さらに留まることなくキャッツクローの紛い品まで登場します。
これに危機感を感じたフジモリ元大統領はキャッツクローを守るために「キャッツクロー保護法」を制定すると同時に育成にも奨励しました。
キャッツクロー保護法について、医学博士 山田義帰著者“超薬効食「キャッツクロウ」”(現代書林)にて詳しい見解がありましたので、一部抜粋しております。
『政府の発表によれば、ウンカリア・トメントサ、いわゆるキャッツクロウは国内法によって根を掘り起こして採取したり、これを輸出することを禁止した。その理由として、キャッツクロウの樹皮はその根と同じ有効成分を持っているから、というのである。
この法律の趣旨は、根を掘り起こしてしまえばキャッツクロウはそこにはもはや生えなくなってしまうが、樹皮だけを取り根を残すことで再生を可能にするという考え方に立脚している。キャッツクロウは非常に生命力の強い植物で、根を残して幹や蔓を切るようにすれば、大体4年ほどしてまた元の大木に生長し、収穫するほどの蔓を再生できる。「幹は切っても、根は採るな」というのである』
 
 
このようにペルーでは自然のキャッツクローを絶やさないために保護されましたが、以前よりキャッツクローを取り巻く環境は悪化されていたのは事実です。
キャッツクローは大きく分けて、ウンカリア・トメントサ種とウンカリア・ギアネンシス種がありますが、特にトメントサ種はアルカロイドが豊富なため、大量に収穫されました。そのため、ツタの長さが低く育つため比較的見つけやすいギアネンシス種をトメントサ種と混合した粗悪品が市場に出回ったのです。
変動するキャッツクローの需要
1990年代にキャッツクローの市場はピークを迎えますが、徐々に市場が縮小されたのはキャッツクローの粗悪品が原因の一つなのではないでしょうか。粗悪品は正規品とは違いキャッツクローが本来持っている力が発揮されないことから信頼が落ち、キャッツクローに対するイメージが悪くなったとも考えられます。
しかし、近年再びキャッツクローの需要は伸び始めています。下記の【2001年~2006年間のキャッツクロー及び派生品の輸出先国別輸出統計】データをご覧ください。
2001年~2006年間のキャッツクロー及び派生品の輸出先国別輸出統計
| 輸出先国 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 国別 輸出比
 (%)
 | 
| 輸出額(US$/FOB) | 
| 米国 | 150,072 | 142,154 | 418,639 | 321,371 | 390,971 | 286,228 | 25.0 | 
| 日本 | 426,186 | 482,027 | 501,174 | 282,628 | 219,073 | 266,611 | 23.3 | 
| フランス | 91,035 | 70,605 | 292,376 | 198,787 | 110,879 | 133,738 | 11.7 | 
| ウクライナ | 1,500 | 5,152 | 16,384 | 0 | 0 | 64,500 | 5.6 | 
| ブラジル | 0 | 7,830 | 37,440 | 31,278 | 24,377 | 64,042 | 5.6 | 
出所:ペルー国輸出振興局(PROMPEX) バイオ品輸出促進室(BIOCOMERCIO PERU)
日本はアメリカに続いて輸出先国として第2位となります。
サプリメント大国アメリカのキャッツクローに対する需要が高いことが実証されています。また、輸出先国として上位のアメリカ、日本、フランスが総輸出額の60%を占めており、ペルーでは同3国が2001年~2006年間の安定的輸出先といえます。
良質なキャッツクローを守るために
 
アマゾンのジャングルの奥深くに自生する「奇跡のハーブ」キャッツクローは、約2000年前から今日に至るまで、世界中でメディカルハーブとして医療や生活において欠かせないものとして取り上げられています。
私達は今後も良質なキャッツクローの恩恵に与るためには資源を大切に守り続けることが重要ではないかと考えます。
参考文献
- Mr.Lwsilie Taylor著者(2002年)
 『Herbal Secrets of the Rainforest[熱帯雨林のハーブ(薬草)の秘密 第2版]』
- 医学博士 山田義帰著者 『超薬効食「キャッツクロウ」』(現代書林)
- ペルー国輸出振興局(PROMPEX) バイオ品輸出促進室(BIOCOMERCIO PERU)
 
 
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